【相談対応Q&A】発達障害なので宿題を減らして

公開日時:2021-12-03 18:50:04  
カテゴリ:事例/その他

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第62回のテーマは「発達障害に配慮して宿題を減らしてほしい」。

 「発達障害」は学校現場で重要なテーマです。発達に偏りがあることによって、トラブルが発生することがあるのですが、その中でも「学習」に関することは起こりやすいテーマの1つです。今回は「発達障害に配慮して宿題を減らしてほしい」をテーマにしたいと思います。

発達障害の子供は1クラスに

2〜3人

 文科省の調査では普通学級に在籍している発達障害の子供の割合は6.5%とされています。1クラスに2〜3人ということになります。発達の偏りがあることでトラブルが発生することがあるのですが、そういったものの中でよくあるものが「学習」に関するものです。その中でも特に「宿題」に関するものはよく問題となります。

家庭では甘えが生じる

 学校での学習場面であれば、周りの子供もきちんと学習をしているという状況が多くなります。そういったこともあり、発達障害を抱えた子供も周りの子供たちの行動に引っ張られるような形で取り組むことができる場合があります。その点、自宅で宿題等に取り組む際は、通常は1人で取り組むことになります。自宅なので、すぐそばに自分が好きなもの(携帯型ゲーム、テレビ・ビデオ、漫画、お菓子等)がある状況となります。そういったものに気持ちが揺らぐことも起こるであろうと想像ができます。家にいる大人(多くの場合は親)との関係はどうしてもなあなあになってしまうことが多いです。学校のように「教師―児童」という関係ではないので、親子の関係では、子供も親も甘えのようなものが生じてしまうことがあります。

宿題を減らす以外のやり方もある

 保護者から「発達障害の子供の宿題を減らしてほしいのですが…」という相談を受けることがあります。宿題の減免は障害者差別解消法に基づく合理的配慮として認められるものではありますが、学級内での仲間との関係を考えた場合、違ったやり方もあると思います。特別に宿題を減らすことで、他の子供から「ずるい」という声が上がることがあります。教師に対する不満につながったり、発達障害を抱える子供へのいじめのようなものにつながってしまったりする場合もあります。

 そういったこともあるので、宿題の個別対応は慎重に行うことが求められます。たとえば、一律にすべての子供に同じ量の宿題を出すというやり方を変えるという方法があります。すべての子供に共通して取り組むもの(あまり量の多くないもの)を設定し、それとは別にそれぞれの子供が自分の状況に応じて取り組むものを設定するというやり方にします。こういったやり方であれば、それぞれの子供に合わせた宿題の設定がしやすくなります。現在は、タブレット/PCが子供の身近にある状態です。そういったものを上手に活用することで、個別対応の宿題が取り組みやすくなります。

 また、それとは違った方法で私が推奨しているものは「自主学習」の取組みです。それぞれの子供が何の宿題に取り組むのかを自分で決めて取り組むというやり方です。私が関わったことがある子供の場合、その子供は昆虫が大好きでした。自主学習では、「虫図鑑」を作っていました。こだわりが強い子供だったので、その図鑑の出来は素晴らしく、皆の前で褒めることができました。そういったことによってその子供は精神的も安定した日々を過ごすことが多かったです。毎日、自主学習だけにする訳にはいかないかもしれないのですが、そういった取組みを定期的に取り入れることで救われる子供がいることは事実でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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【シリーズ名変更のお知らせ】「クレーム対応Q&A」シリーズにおきまして、長期連載する中で、クレームではない保護者からの相談についても、このシリーズ内でご紹介してまいりました。特に悩みを抱える保護者からの相談につきまして「クレーム」という表現は相応しくなく、シリーズ名を「クレーム対応Q&A」「相談対応Q&A」と分けることにいたしました。ご意見をいただいた読者の方に感謝申し上げるとともに、ご不快に思われた方々にお詫びを申し上げます。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子供たちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子供学会等、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師、平成30年4月からは帝京平成大学講師として、子供の未来を支える小学校教諭、幼稚園教諭、保育士等の育成や指導に携わる。
<鈴木邦明>