保育園に通えない「無園児」家庭、半数が定期保育を希望

公開日時:2022-06-16 16:15:07  
カテゴリ:事例/その他

無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査の記者会見
無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査の記者会見
虐待リスクと定期保育サービスの利用意向
虐待リスクと定期保育サービスの利用意向
子供への愛着度と定期保育サービスの利用意向
子供への愛着度と定期保育サービスの利用意向
孤独を感じている割合
孤独を感じている割合
定期保育サービスの利用状況
定期保育サービスの利用状況
親の孤独感と定期保育サービスの利用意向
親の孤独感と定期保育サービスの利用意向
定期保育サービスの利用意向
定期保育サービスの利用意向
学年別保育所等、空き定員数
学年別保育所等、空き定員数
未就園児・受け入れ可能定員数
未就園児・受け入れ可能定員数
国の年間補助想定額
国の年間補助想定額
人口減少による保育施設への影響
人口減少による保育施設への影響
無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査の記者会見
無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査の記者会見
 保育所・幼稚園等に通園していない無園児家庭では、子育てに関して孤独を感じている割合が高く、56.4%が定期保育サービスを利用したいと回答していることが、フローレンスが2022年6月15日に公表した調査から明らかとなった。

 現在、保育園は親の就労等の理由により、保育の必要性が認められないと入園できず、多大な苦労をともなって、保活をせざるを得ない状況となっている。一方、保活のハードルの高さから入園を諦めた家庭では、孤独な子育てに陥りやすく、24時間小さな子供と過ごすストレスにより、虐待リスクが高まることが知られている。

 経済的に困難を抱える家庭やひとり親家庭への支援等に取り組むフローレンスは、日本総合研究所と協働で、全国の0歳以上の未就学児の保護者2,000名に「無園児家庭の孤独感と定期保育ニーズに関する全国調査」を実施した。調査期間は、2022年3月3日〜7日。

 まず、子育ての中で孤独を感じるかを尋ねたところ、定期的に保育サービスを利用している家庭では33.2%であったのに対し、無園児家庭では10.6ポイント高い43.8%が、「孤独を感じる」「まあまあ孤独を感じる」と回答した。そのうち、低年齢の無園児家庭では5割以上が孤独を感じていることが明らかとなった。

 さらに子育ての中で孤独を感じている家庭を対象に、定期保育サービスの利用意向を尋ねたところ、70.6%が定期保育サービスを「利用したい」と考えていることがわかった。中でも、「子どもに手をあげてしまいそうなことがある」「子どもを怒鳴ってしまうことがある」といったリスク行動が見られる家庭の方が、定期保育サービスを「利用したい」割合が高い傾向がみられた。

 無園児家庭全体においても、56.4%が定期保育サービスの利用を希望。利用する場合の希望頻度としては、週1〜2日、1回あたり3〜5時間が多く、現行制度よりも低頻度・短期間での利用ニーズが寄せられた。一方で、実際に一時預かりサービスを利用したことがある無園児家庭は1割強にとどまった。

 次に、子供への愛着度と定期保育サービスの利用意向の相関を調べたところ、皮肉にも子供への愛着度が低い家庭ほど、定期保育サービスの利用意向が低いことが明らかとなった。定期保育サービスの利用が任意の場合には、親が自発的に利用する必要があり、たとえばネグレクトが疑われるような家庭では、自発的な利用をしない可能性が考えられるという。

 これらの調査からフローレンスは、待機児童問題が解消している地域で、空き定員枠を活用して、希望する誰もが週1日からでも保育園を利用できるようにしてほしいと国に対し提言活動を行った。

 厚生労働省や総務省、文部科学省等の調査をもとに保育所等の空き定員数を試算したところ、2022年時点ですでに計46万人程度の空きがあり、その後も増加傾向であることがわかっている。待機児童が多く発生していた0〜2歳児においても、今後継続してそれぞれ10万人以上の空き定員数が見込まれる。

 また、地域および学年区分を加味しない場合、2022年度内に未就園児計145万人全員を週1回受け入れることが可能な状況であることも明らかとなった。

 6月3日の厚生労働省の発表によると、出生率が6年連続で低下し、2021年の出生数も81万人と過去最少を記録。2028年には少子化にともない減少する保育園等への補助額相当分を、受け入れに必要な財源として補える見込みとなっている。

 働いていない母親がどこにも預けず自分だけで四六時中、子供を見るというのは、いくら愛情があるといえども限界がある。5歳の長女と4歳の双子の男児を抱え、窮地に陥った経験のある母親は、「3人の保育園入園が決まったときは、子どもたちを死なせずにここまで生かすことで精一杯だった私が、『もう、誰かに頼っていいよ』と自治体から認められたような気持ちだった」と語る。

 一刻も早く、すべての家庭で笑顔が取り戻せるよう、働く親のための保育園ではなく、すべての子供のための保育園へ、改革が待ち望まれる。
<川端珠紀>