公正研究推進協会（APRIN）では、次代の学術活動を担う若い世代に向けた教材「中等教育における研究倫理」をWebサイトで無料公開している。基礎編・実践編のほか、探究指導のためのハンドブックをダウンロードできる。

　近年、中高校生が授業や課外活動で科学的な実験・研究を行うことが奨励され、その成果を研究レポート、発表会、コンテストなどを通して発表する機会が増えている。一方で、学術の発展、知的好奇心の追求のためならば、どんな研究も許されるというわけではなく、成果を発表する際には研究者全員が守るべきルールがある。

　教材「中等教育における研究倫理」では、研究活動を進めるために必要な倫理やルール、その背後にある考え方を学習するため、基礎編と実践編を用意。テキスト学習後は、受講確認書の発行も可能だという。

　基礎編は、中学生や高校生が授業や課外活動で実験を行ったり、調査研究を実施し、その成果をレポートにまとめたりする際、さらに、発表会やコンテストなどで研究成果を発表する際に押さえておくべき基本事項について学習。実践編では、基礎編の内容を踏まえ、研究活動の各段階において、倫理的に正しい方向で研究活動を実践するために必要な事項の詳細を学ぶ。

　また、研究活動の適切な進め方を教えたいという教員向けに「探究指導のためのハンドブック」を用意。誠実な研究活動と不正行為、研究を実施するうえでの生徒と指導者および周辺組織の役割、研究計画、生命倫理、人を対象とする研究、研究を安全に進めるためのリスク管理など、適切な研究活動について指導する際に活用できる内容となっている。

　いずれもPDF形式で、Webサイトより無料でダウンロードできる。

　APRINではeラーニングシステム「eAPRIN」を使った研究倫理に関するeラーニング教材の配信、研究公正に関する全国的な会合の開催、政府省庁等への意見発信、国際的な機関との連携など、幅広く国内外の研究公正を支える活動を展開。また、生徒の研究活動を指導する立場にある教諭を支援するため、高校等への講師派遣も積極的に実施している。

＜川端珠紀＞

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