学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第206回のテーマは「通学路に危険な個所がある」。
通学については保護者に責任がある
子供の通学に関することは、学校(教員)と家庭(保護者)の関係でよく話題になります。この連載でも「【クレーム対応Q&A】通学路指導の教員が立番すべき」は、とてもよく読まれています。200回連載時点で、もっともアクセスの多い記事でした。学校関係者にとっても、保護者にとってもさまざまなトラブルがあり、気になることが多いテーマだと思います。
まず、通学に関しては基本的に保護者に責任があります。自宅から出て学校の門まで行くこと、また学校の門から出て自宅へ戻るまでです。交通事故などが起こった時には、加害者(自動車などの運転者)と被害者(子供)の間での賠償問題となります。被害者(子供)に信号無視などの過失があれば、賠償額の減額などがあり得ます。
通学に関する学校の役割については、学校保健安全法で定められています。学校保健安全法第27条・第30条では、学校や教師の果たす役割について「登下校の際の交通安全のルールを教えること、警察や保護者と連携をすること」とされています。教員が通学路に立って安全指導をすることなどは役割とはされていません。私が小学校の教員をしていた時、定期的に登下校指導という名目で、子供の下校に付き添ったり、登校の際に交差点に立ったりということをしていました。本来、それらのことは教員の仕事ではありません。
今回のテーマである「通学」に関して、少しわかりにくい部分があります。先に解説したように、通学は学校(教員)の責任下ではありませんが、事故などが起こった際には、学校(正確には学校ではないのですが)から給付金が支給されます。独立行政法人「日本スポーツ振興センター」が学校関連の事故などの際に給付金を支給しています。その給付金が支給されていることを理由に、学校にも責任があるのではということが言われることもありますが、先ほども書いたように法的には登下校は保護者の責任となっています。
危険な個所について、学校と保護者で情報共有する
通学に関する責任は保護者にあるのですが、通学路に関する情報は学校に連絡し、共有していくことが良いでしょう。子供がトラブルにあわないようにするために関係者で協力していくことが必要でしょう。危険個所があれば、学校に連絡し、状況によっては、下校の前に緊急で全校児童生徒にアナウンスをすることなどをしていくべきでしょう。道路の不備などであれば、管理者(市区町村などの自治体)や警察などに連絡し、改めて対応していくこととなるでしょう。
近年、自動車の安全装置は格段の進歩を遂げています。「衝突安全装置」はとてもよくできています。この機械によって救われた命はたくさんあると思われます。交通事故死亡者数は、昭和40年代半ばには1万5,000人を超えていたものが、現在は3,000人を下回る数へと減っています。今後も事故数、事故死亡者数が減り続けていくと良いです。色々な取組みを続け、事故などによって悲しむ人が少なくなっていけばと思います。
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【相談対応Q&A】通学路に危険な個所がある
公開日時:2024-11-29 19:15:04
カテゴリ:事例/その他