矢野経済研究所は、国内のメタバース市場に関する調査を実施し、2023年度の市場規模を前年度比35.3%増の1,863億円と推計した。さらに、2028年度には市場規模が1兆8,700億円に達すると予測している。この成長は、XRデバイスの普及とAI技術によるコンテンツ開発の効率化・高度化が進むことが背景にある。
同調査は、2024年8月から10月にかけて、メタバース関連の技術やサービスを提供する国内事業者を対象に行われた。調査方法は、専門研究員による直接面談(オンライン含む)と文献調査を併用したものである。メタバースは、仮想と現実を融合したインターネット上の3次元空間で、ユーザー同士が自分のアバターを操作して交流することができる環境と定義されている。
2023年度の国内メタバース市場は、プラットフォーム、コンテンツ・インフラなど、XRデバイスの合算値で1,863億円と推計されている。2024年度には2,750億円まで成長する見込みである。コロナ禍で企業のDX化が加速し、メタバース市場への新規参入企業が急増した2021〜2022年度に比べ、一時的に成長率が減速したが、今後は自治体でのメタバース導入が積極的に進むとみられる。
特に、自治体におけるメタバースの活用は、地域格差の解消に向けた取組みとして注目されている。教育分野では、過疎地や離島での遠隔教育が導入されており、VRや3D空間を利用して都市部の授業に参加できる環境が整備されている。また、医療分野では、メタバースを活用した遠隔診療や医療教育が試験的に行われており、地域の医療レベル向上が期待されている。
観光産業においても、地方の観光地をメタバース上に再現し、仮想観光を促進する事例が増えている。これにより、都市部や外国人が仮想空間を通じて地方の観光地を体験でき、地域の魅力を広く発信する機会が増加している。
将来的には、国内市場においてメタバースが消費者に広く浸透するためには、XRデバイスの普及が重要な鍵となる。2027年度以降には、AI技術によるコンテンツ開発の効率化・高度化が進み、コンシューマー市場の成長が加速することで、2028年度の国内メタバース市場規模は1兆8,700億円に達すると予測されている。
国内メタバース市場、2028年に1兆8,700億円規模へ
公開日時:2024-12-10 16:45:04
カテゴリ:教育行政/その他